|
PAGE 1 / 3
――すごい部屋になってきましたね。
松本「物置ですな。三葉虫の化石やパラサイト……これは47億5千万年前の太陽系ができるときに惑星になりきれなかった破片の残骸です」
――へぇっ!
松本「この部屋の中で一番古いものです。地球より古いですから」
――どうやってそんなものを入手……。
松本「人からもらったんですよ。だから、そう言われてるもので、うそか本当かわからない」
――なんじゃ、それ。あ、ここに森雪のフィギュアがある。最近、どっと出てきましたね、松本キャラフィギュア。
松本「そうですね。ちょうどそういったものを懐かしんでくれる世代がでてきたんでしょうね。「ヤマト」だけじゃないですよ、「ハーロック」や「999」……幼児期にテレビで見てくれた人がよく最近ここに訪ねてきて、一緒に仕事がしたいといってくれます。外人でもそういう人がいて、「オレはハーロックのようになりたいと思った」とか。聞くと「5歳の時見た」と。それでまず、これを飲んでくれとワインを飲み干してから仕事の話に入ったり」
――まんまハーロック。
松本「そう。いわば、同じ意識を持った……次の世代に夢のバトンタッチをやってる感じで楽しいです。それと、私の作品の舞台背景は、繰り返し描いてますから世代間に持続性がある」
――「ハーロック」や「エメラルダス」は、宇宙をさすらっているキャラですから永続感は感じますが「999」のような完結しているものまでひっぱるのは……。
松本「いや、やろうと思えばどこまででも走れますよ(笑)。「999」は時の輪をめぐる話で、時の輪とは無限大のことですから」
――鉄郎がかわいそうですよ。
松本「でも、永遠の少年として旅できるんだから。一種の自分の身代わりみたいなもんで……鉄郎には歳をとらせたくないんです」
――「999」は編集側からの依頼で復活したんですか?
松本「私が続けてやりたかったんです。地球の再生まで時の輪を一巡りさせたかった。ビッグバンから現在まで、過去をも旅させようと。「999」は宇宙空間検分録です」
――20世紀後半から先生は少年漫画にシフトされてますよね。それは「999」のような「少年的好奇心」が男女間の好奇心より上だということですか?
松本「少年漫画というか、ずっと一貫して中学生の頃から同じものをテーマに描いている」
――SEXシーンがどんどんなくなってきましたよね。
松本「いや、描こうと思えばどれだけでもかけますよ。ただ描く必要のない舞台を扱っているから。でも、そう言われればそうだね……描いてみたいな。SEXシーンっていうのは、表現の仕方によってキレイにも汚くもできるし、下品を売り物にすることもできる。私もこれからどういうものを描くかわからないですよ(笑)……ただ私に限って言えば、表現方法の品というか、それは絶対落とさない」
――ミーメとハーロックはできてるのか、とかときどき疑問に思いますけど。
松本「ハーロックは自分の信じる友達の恋人には絶対手を出しませんから。トチローもそう。身を抵して守るけど、そういうことは絶対に許さんという世界で成り立っています」
――ということはハーロックはエメラルダスともそうならない。
松本「エメラルダスはトチローと恋人関係なんですね。トチローは途中からアルカディアの船に宿る心になってしまいますが、ハーロックにとってかけがいのない、打算のない最大の親友なんです。だからその恋人は命をかけて守るけど(SEXとか)そういう意味で恋愛感情は持てないしできない」
――結局松本漫画では誰もSEXできない状況ですね。
松本「メーテルにしろエメラルダスにしろ大人の女性ですからね。SEXがどうのって、そういうことは彼女たちの永遠にミステリアスな大人の私生活部分として、知らなくてもよろしいと」
――ところで「新ヤマト」ですけど。最初、扶桑社でやる話がなぜ小学館へいってしまったんでしょうか?
松本「私はぐーたら人間でして……連載と〆きりというテンポがないと仕事しないんですね。それで描き下ろしができなくなってしまった。そのかわり、映画化に伴うムックを作ったりするときには扶桑社さんにお任せします。扶桑社の平田(静子)部長さまにおまかせすると。それは小学館に言ってあります」
――「新ヤマト」ですがずいぶんCGっぽいイメージですけど。
松本「以前から作画にコンピュータを導入していました。世紀末とは良く言ったもので、第二の産業革命が始まったんです。紙媒体と電子媒体が同居しているところに踏み込んでしまった」
――第一艦橋の中までCGって言うのは、あの精密な絵を見て育った旧ヤマト世代としては納得いきません。
松本「いや、これは絵ですよ。当時と同じものです。CGで陰影を付けているだけ。ペンを使おうがコンピュータ使おうが、絵の素質は変わらない。結局絵が描けないとだめです」
――……。
松本「だから、この(ヤマトの)中で、純然たるCGだけというコマはありません。人間が手で描いたものにCGの手を加えているものはあります。まぁ、どっちにしろ絵を描く道具には違いない」
――先生はフォトショップなりイラストレータなりを使いこなしていらっしゃるんですか?
松本「中くらい。大ベテランであるかと聞かれたら、まだ夢中であると答えざるをえない。どのレベルがプロフェッショナルなのか、判断できないし」
――コンピュータ導入のきっかけになったことは何でしょう?
松本「あれば表現形態がさらに広がっていく。それと海外との連携を保つためには必要です。今までFaxで何度も確認しなければ進まなかった作業が、全然早くできる。いやおうなく、こうなってしまった」
|